こんにちは。奨学金返済中のコザロウです。
本記事では、大学院生のときに奨学金を借りていた私が、
- 「奨学金返済免除って具体的に何をどのくらいすればいいの?」
- 「研究がんばって奨学金返済免除狙おうかな」
と思っている大学院生に対して、
返済免除になった実例/ならなかった実例を紹介することで、奨学金返済免除の基準や評価方法について解説します。
本記事を読むことで、「具体的な基準&評価方法で奨学金の返済が免除されるのか」を把握し、努力する方向性を認識できます。
「そもそも奨学金なのに返済が免除されるの?」って思った方は、まずは以下の記事をご覧ください。
前提条件
まず、大前提として、奨学金が返済免除になるためには、
- 第一種奨学金を借りている大学院生
であることが必要です。
つまり,
- 第一種奨学金を借りていない
- 第二種奨学金を借りている
大学院生は、この後に記述する奨学金返済免除の基準を満たしていたとしても、返済免除にはなりません。
そもそも奨学金を借りていなければ返済免除にならないのは当然ですが、第二種奨学金でも返済免除にならないのには注意が必要です。
また、「第一種とか第二種とかって何?」って思った方は、以下の記事をご覧ください。
基準
奨学金返済免除の基準として、日本学生支援機構によると、実際に奨学金返済免除者に認定された人(例えば、令和元年度)は以下のようになっています。
令和元年度 大学院第一種奨学金における特に優れた業績による返還免除の認定について
令和元年度中に大学院第一種奨学金の貸与が終了した24,638名のうち、各大学から特に優れた業績を挙げた免除候補者として推薦のあった7,546名について、学識経験者からなる業績優秀者奨学金返還免除認定委員会の審議を経て、免除者7,473名を認定しました。
日本学生支援機構ー認定結果について
ここで注目すべき点は、「各大学から特に優れた業績を挙げた免除候補者として…」という部分です。
つまり,奨学金返済免除の基準は、業績を挙げて、「自分の大学」の第一種奨学金を借りている人の中で上位30%であるかどうかです。
ちなみに、私の大学院では、第一種奨学金を借りている119人中36人が返済免除対象であったので、確かに上位30%でした。
評価方法
奨学金返済免除の評価方法について、詳しくは日本学生支援機構ー特に優れた業績と評価方法に書かれています。
しかし、こちらには、すべての専攻分野の業績の種類と評価方法が記載されており、実際に業績として認められるのは、専攻分野ごとで異なります。
例えば、理系の大学院生の場合、他の人と差が出る業績は「学位論文その他の研究論文」という項目だけです。
その他の項目は、
- 普通の大学院生ではほとんど業績を挙げることができないもの
(例:「研究の成果」「著書,データベースその他の著作物」「発明」など) - 特定の専攻分野のためのもの
(例:「音楽,演劇,美術その他芸術の発表会における成績」「スポーツの競技会における成績」など) - 全員が基準を満たせるもの
(例:「授業科目の成績」など)
などであり、評価対象外です。
実際に私は、理系の大学院生出身なのですが、業績として認められたのは、
- 「学位論文その他の研究論文」
- 全員が基準を満たせる「授業科目の成績」
の2項目だけでした。
つまり,「自分の専攻分野がどんな方法で評価されるのか」を知りたい方は、大学のホームページなどで調べてみてください。
おおよそ例年と同じ業績の種類や評価方法であるので、参考になると思います。
実例
「返済免除の基準」の項目で述べたように、奨学金返済免除の対象者は、大学ごとに認定されます。
一方で、「返済免除の評価方法」の項目で述べたように、実際に業績として認められるのは、専攻分野ごとで異なります
そのため、奨学金返済免除の条件は
- 大学
- 専攻分野
で異なることが予想されます。
ここでは、参考として、私の通っていた地方国立大学の理系専攻分野の場合の
- 実際の評価方法
- 具体的な業績評価項目と評価点
- 半額免除になった事例/ならなかった事例
を紹介します。
実際の評価方法
私の大学の場合、奨学金返済免除の評価方法は、
- 業績に応じて評価点が異なる
- 業績を挙げただけ加点される
方式を採用していました。
具体的な業績評価項目と評価点
私の大学の理系専攻分野の場合、他の人と差が出る業績は「学位論文その他の研究論文」だけでした。
この「学位論文その他の研究論文」の中で、普通の大学院生でも挙げることができる具体的な業績評価項目と評価点は
具体的な業績評価項目 | 評価点 |
国内学会で発表する | 10 |
国際学会で発表する | 20 |
論文が学会誌・学術誌へ掲載される | 60 |
の3項目でした。
一応、他にも業績評価項目はありましたが、学会から表彰される必要があります。
これを目指すのは普通の大学院生にとって現実的ではありませんので割愛しています。
半額免除になった事例/ならなかった事例
私の大学で、私の知る限りの半額免除に認定された事例/認定されなかった事例を以下の表にまとめました。
事例 | ① | ② | ③ | ④ |
国内学会で発表する | 50 | 60 | 40 | 30 |
国際学会で発表する | 20 | 20 | 20 | 0 |
論文が学会誌・学術誌へ掲載される | 60 | 0 | 0 | 0 |
合計評価点 | 130 | 80 | 60 | 30 |
半額免除に認定/非認定 | 認定 | 非認定 | 非認定 | 非認定 |
この表を見ると、「論文が学会誌・学術誌へ掲載される」の業績を挙げないと半額免除には認定されていないことが分かります。
この「論文が学会誌・学術誌へ掲載される」の業績は、その人が優秀であることも必要であると思いますが、それ以上に、研究室または担当教授に依存するものであると思います。
これは、学会で発表したり、論文を書いたりするのは教授の一存で決まるからです。
そのため、本気で半額免除を狙うのであれば、担当教授に「奨学金の返済免除のためにたくさん業績を挙げたい」などと伝えてもいいかもしれません。
そして、なんとしても一回は論文を書けるように努力するようにしましょう。
最後に:返済免除は研究へのモチベーション
奨学金返済免除になるためには、業績を挙げて、自分の大学の第一種奨学金を借りている人の中で上位30%になる必要があります。
そもそも大学入試の制度的に、自分の大学には同じくらいの学力の人がいる環境のはずです。
そのため、ちょっとがんばれば半額免除くらいなら認定されそうな気はしますが、私も含め普通の大学院生では、返済免除は現実的に厳しいと思います。
ですが、「半額免除になる可能性がある」というマインドがあるだけでも、研究へのモチベーションにつながりませんか?
私は、このマインドを持ち続けたことで、辛い研究室生活を乗り越えることができました。
また、これを読んでいる人はすでに手遅れではあると思いますが、
- 大学院入試で、自分のレベルより下の大学院に入学し、その大学院で上位を狙う
- 論文をガンガン書けるような研究室に行く
ことができる人は、業績を挙げやすく、半額免除の可能性があるかもしれません。
民間の「給付型奨学金」という選択肢もある
- 「半額免除なんて自分には無理そうだ」
- 「それでも何とかしてお金をもらいたい」
って思った方は、民間の「給付型奨学金」という選択肢もあります。
「給付型奨学金」とは、お金を借りることができる制度である「貸与型奨学金」とは異なり、お金をもらうことができる制度です。
しかし、大学院生の場合、日本学生支援機構の「給付型奨学金」は申請することができません。(2022年3月現在)
そのため、民間の「給付型奨学金」を検討する必要があります。
詳しくは以下の記事をご覧いただくと良いと思います。
以上です。本記事を読んでいただきありがとうございました。
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